PACSニュース

フィルムレスPACSの運用からDICOM医用画像の解析まで。

CTマーケット状況

日本国内CT市場は年間約1300台で、その内マルチスライスCTは約80%以上を占めている。

平成20年度診療報酬改定で64スライス以上の心臓検査が加点対象となったため、シングルヘリカルCTからマルチスライスCTへの移行が加速している。

マーケットの多列化に伴い、高範囲・高精細な画像を短時間で実現する機器導入を検討する施設も増加傾向にあり、今後成長が見込まれるマーケットとなっている。

狭心症検査においては、カテーテルという細い管を動脈から入れて狭窄を見つける方法が行われているが、出血や危険性の点からマルチスライスCTによる検査の重要性が高まってきていると言える。

PHILIPS、富山射水市民病院で128スライスCT「Brillia nce iCT SP」の臨床稼働開始、アジア初

1日、株式会社フィリップス・エレクトロニクス・ジャパン(東京都港区、代表取締役社長:上條誠二、以下フィリップス)は、高速128スライスCT「Brililiance iCT SP(ブリリアンス・アイ・シー・ティ・エスピー)」の国内第1号機が、射水市民病院(富山県射水市朴木20番地、院長:麻野井英次)で臨床稼動を開始したと発表した。

射水市民病院は、富山県射水市内で唯一の公立病院で、高度医療機器や人工透析施設を充実させ、二次救急医療を行い「地域住民から最も信頼され親しまれる病院になる」というビジョンの基に医療機能を向上し、医療の質と安全性を高める努力を続け平成20年4月に病院機能評価Ver.5の認定を受け、今年度からは市民、医師会、救急隊の方々へ積極的に医療機能に関する情報提供を行なっている。

射水市民病院の麻野井英次病院長は、「フィリップスの「Brilliance iCT SP」の、従来よりも30%早い回転速度を活かした心臓CT検査によって、患者の身体的、費用的負担を軽くCAGに変わる検査として大きな期待をしています。心臓病の治療を強化して病院の特長を出していきたいと思っています」と述べている。

フィリップス・エレクトロニクス・ジャパンのヘルスケア事業部で、常務執行役員およびマーケティング本部長を務めている中辻博は、「Brilliance iCT SP」の稼動開始は、国内1号であると同時にアジア1号です。最新技術が搭載された128スライスのマルチスライスCTは、従来の64スライスCTに比べ30%以上の高速化を実現し、殆どの検査が10秒以下で検査可能となり、息止めの難しい高齢の患者様にもより優しい検査が出来ることから、多くの地域住民の方々の画像診断に活用いただけることを嬉しく思います。」と語っている。

「Brilliance iCT SP」の主な特長

  • 高速
    世界で初めてのエアベアリングによる0.27秒高速回転(他社製も含めて業界最速)
  • 高画質
    128スライスヘリカル/0.27秒/Smart Focal Spotによる広範囲・高画質の実現
  • 高出力
    ハイパワーエックス線管球iMRC Max mAは1000mA
  • 低被ばく
    ヘリカル専用可変コリメータによる被ばく低減ハードウェアの実現

バーチュア・ヘルスのIT化プロジェクト

ニュージャージー州マールトンの病院グループ「バーチュア・ヘルス」は、長年GEヘルスケアやシーメンスなどの医療用ソフトウェアを使ってきた。

だが、同病院グループCEOのリチャード・ミラー氏は、病院内のプロセスで最初から最後まで電子処理されているものが1つもないという事態にいらだちを募らせていた。

例えば、看護師が新しい患者の電子医療記録を作っても、医師は治療の指示を相変わらず手書きで渡していたのだ。

「システムの機能のうち、20%しか利用していないと聞くのはもううんざりだった」とミラー氏はこぼす。

バーチュア・ヘルスのCOO、ニンファ・サンダース氏の話では、問題は主に旧態依然とした仕事の進め方と、変化に対する頑固なまでの抵抗感にあったという。

ミラー氏とサンダース氏をはじめとする役員らは、バーチュア・ヘルスを女性特有の病気や心臓血管の疾病など、それぞれの分野で世界最高レベルの医療機関に生まれ変わらせたいと考えた。「もう、ありきたりの病院ではいたくないと思った」とミラー氏は当時の心境を明かす。

バーチュア・ヘルスは2006年に電子医療記録システムを立ち上げ、GEヘルスケアの「Centricity PACS」、マイクロソフトのデータベース「Amalga」と統合ツールキット、およびシーメンス・ヘルスケアの「Soarian」を導入し、それらの機能を極力活用することにした。

そして昨年には、コンサルティング会社デロイト・コンサルティングのアル・カンパネラ氏をCIOに迎え入れたのである。

ミラー氏は、「プロジェクトの総額は、1億2,500万ドルに及ぶ」と語る。

ミラー氏によれば、すでに2011年までの具体的な計画が出来ており、2011年には“ほぼ”ペーパーレス・フィルムレスな病院が開院する予定だ。

これに向けて、バーチュア・ヘルスの経営陣は、ソフトウェアを購入する前に「まずどこから手を付けるか」、「作業の優先順位をどう決めるか」、「組織面/技術面で必要なスキルは何か」を明らかにするため、シックス・シグマとリーン・マネジメント手法を使っているという。

それと並行して、シニア・エグゼクティブは他のITスタッフや医療スタッフと共同で、日常的に行うすべてのプロジェクトの主要プロセスとマイナー・プロセスをマップ化した。

マップは、複数の楕円形や長方形、正方形によって表され、さらにそれぞれの形状が色付きの矢印で結ばれており、外部の人間には判読できない。

バーチュア・ヘルスのスタッフは、このマップから、さまざまな事柄を突き止めた。例えば、「臨床プロセスに1,000種類以上の用紙が使われている」といったことだ。この件に関しては、ワークフローを変更/IT化することで、用紙を200種類に削減し、さらに新たな臨床情報システムではそれらもすべて電子化される予定となった。

ミラー氏は「断片的なプロセスをIT化しても何も解決しない。IT導入の基礎となるフロー・チャートを作ることが重要なのだ」と自信をのぞかせる。

こうしたことから、バーチュア・ヘルスでは、ベンダーとの契約書に「ベンダーは新しいソフトウェアを導入する前に、プロセスのマッピングを支援すること」という条文を盛り込んでいるという。

Cクラスの役員とITプロジェクト・マネジャーの連携に加え、臨床医も参加させることで、優れたシステムを開発できる。そのため、ミラー氏、サンダース氏、カンパネラ氏の3氏は、毎月行われるシックス・シグマのアップデート・ミーティングへの出席を欠かさない。

「欠席は許されない。このミーティングには代理を立てることはできず、必ず本人が出席することになっている」とミラー氏は語る。

米国での過激な医療情報IT推進、成否を決めるのはマネジメント力

米国における医療情報のIT化の奨励金を獲得するための具体的な最終条件は、今年末まではっきりしない。

だが、オバマ大統領が提示した期日に間に合わせるために、CIOは電子医療記録システム(EHR:Electronic Healt Record)などの導入を推し進める必要がある。

調査会社のコンピュータ・エコノミクスがITエグゼクティブ200名を対象に実施した調査によると、多くの業界ではIT運用予算が横ばい状態にあるのとは対照的に、医療業界における今年のIT運営予算は2008年比で4.7%増加しているという。

また、医療業界では雇用も急増している。IT部門全体では今年になって46%が人員を削減しているのに対し、医療業界のIT部門では27%がIT職を増やしているのだ。

電子医療の分野における今日のIT製品は、1990年代初頭に登場したERP(Enterprise Resource Planning)を彷彿とさせる。

当時は、システムベンダーのうたい文句に乗せられて、多くの企業が莫大な予算を投下したものだ。

当時のERPに相当するのが、患者の医療記録を電子化するEHRシステムである。

早い段階から新しいものを取り入れることが必ずしも得策だとは限らないが、病院がオバマ大統領のビジョンを実現するには、オンラインでの処方箋追跡から、医師の指示の電子化、ラボでの調査結果と画像のデジタル化/保存/検索に至るまで、膨大な要素を統合しなければならないことに変わりはない。

うまくいけば、医療機関はほぼ完全なペーパーレス化・フィルムレス化を実現し、患者の全情報に即アクセスできるようになる。

また、過去の治療結果に関する包括的なデータを詳しく解析したうえで、最善の治療計画を練るといったことも可能になるだろう。

つまり、患者の治療の質を高められるのである。カイザー・パーマネンテのCIO、フィル・ファサノ氏の言葉を借りれば、「医療機関の目的が“病気を治す”ことから、“健康を広める”ことに変わっていく」かもしれない。ヘルスケアの根本的な戦略転換となるわけだ。

ハワイのヒロ・メディカルセンターでCIO兼CFOを務めるモネイ・アトワル氏は、「多くの人たちは、こうした“未来予想図”を達成しようと、あまりにも早い段階から手を広げすぎて失敗するだろう」と予想する。

その根拠として、「ERPのときも、ITリーダーはCクラスの役員から全面的な支持を取り付けないまま、何の実績もない巨大なERPシステムをわれ先にと導入したものだ」と述懐する。

米国の景気刺激策に活気づく、医療業務のIT化プロジェクト

米国で約8,000億ドルという巨額の景気刺激策が可決され、医療業界のIT化にも莫大な支援金が投入されることが決まり、医療業界は沸騰している。

「病院や診療施設にある医療情報を電子化することで、年間数十億ドルに及ぶコストの無駄や、数千件に上る医療ミスを減らしたい」というのがオバマ大統領の意向である。

医療機関は、ITを利用して根深い医療問題を解決する見返りとして、2011年の190億ドルを皮切りに、5年間で総額500億ドルの連邦資金を獲得できる。

その一方で、有効なITシステムを導入しなかった医療機関は、「2015年にメディケア(老人保健医療制度)の支払いを1%カット」という金銭的なペナルティを受けることになる。しかも、2017年には、カット額が3%に増やされる予定だ。

医療機関のCIOは、ITの調達やスタッフの採用と並行して、オバマ大統領が奨励金の受給資格にどのような基準を設けるかを予想しながら、商機に目を輝かせている医用システムベンダーをうまくかわさなくてはならない状況に置かれている。

マウント・シナイ・メディカル・センターでIT担当副社長を務めるポール・コンティーノ氏は、「今、電子医療記録を扱うあちこちのベンダーから、売り込みの電話がかかってきている。医用システムベンダーやITコンサルティング会社は、まさに狂乱状態だ」とため息混じりに語る。

最近は、マイクロソフトとグーグルが参入を表明したのを皮切りに、スーパーマーケット最大手のウォルマートまでもが、同社の会員制ディスカウント・チェーンであるサムズ・クラブを通して、デルのPCに「eClinicalWorks」という医療系ソフトウェアをバンドルしたシステムを2万5千ドルで販売しているほどだ。

CIOがサムズ・クラブでシステムを購入することはないだろうが、一般のベンダーから購入する際にも慎重を期すべき点は多々ある。

ほとんどの製品は、まだ発展途上の段階にあるうえ、それらの新システムを使う医師/看護師にしても、積極的に使い方を覚えようとするユーザーから、まったくコンピューターを扱った経験のないユーザー、何十年も同じやり方を通してきて考え方が凝り固まっているユーザーなど、さまざまなタイプがいるからだ。

活躍する若手研究者ら表彰、東北大学OB

東北大学理学部物理系の卒業生でつくる泉萩会の総会が、仙台市内のホテルで行われ、卒業生36人が世代を超えて交流を深めた。

東北大学教授らによる講演会や、同系関係の若手研究者を表彰する式典などがあった。

物理科学分野ですぐれた業績をあげた若手研究者を表彰する「森田記念賞」には、平成8年宇宙地球物理学科卒の三好由純さん(名古屋大学太陽地球環境研究所助教)が選ばれた。同賞は平成17年から始まったもので、今年で5回目となる。

今年新たに設置された「泉萩会奨励賞」には、平成7年物理第二学科卒の是枝聡肇さん(東北大学大学院理学研究科物理学専攻助教)と、平成5年物理第二学科卒の萩野浩一さん(東北大学大学院理学研究科物理学専攻准教授)が選ばれた。

泉萩会奨励賞の設置に携わった佐藤繁さん(東北大学名誉教授)は、「国立大学の法人化が、教育や研究の即効性を予想以上に求めているように見える」と現状を指摘したうえで、「将来ある若い研究者が萎縮して、時間のかかる地味な仕事を避ける傾向になることが心配だった。若い研究者を評価し勇気付けることで、将来へつなげたかった」と話している。

GEヘルスケアが医用画像機器でロシア進出

GEヘルスケア(GE)とロシアの医用画像機器会社のメディカルテクノロジーズ(MTL)は、ロシアにおける画像診断装置の製造を目的とした戦略的提携を結ぶことを発表した。

この提携によってロシアで初となる16スライスCTが現地生産されることになる。

GEヘルスケアは、ロシア現地生産プロジェクトの目的について、脳卒中、腫瘍学、および救急治療の医療インフラストラクチャーの近代化を目指す政府計画を支援するために、アクセスが容易で革新的かつ近代的な医療テクノロジーを導入することで、ロシアの医療従事者がより多くの人々に、より優れたケアを、より低いコストで提供する手助けとなるとしている。

X線、マンモグラフィー、医療情報技術ソリューションの開発製造を専門とするメディカルテクノロジーズ社が、GEヘルスケアと共同で、ロシアでのGEヘルスケアの画像診断機器のローカル化、製造、および販売を行う。

NEC、地域向けセットトップボックス「テレとも」提供開始

NECは1日、ケーブルテレビ(CATV)ネットワークなどの地域ネットワークを利用した自治体・CATV事業者向け地域情報システムを製品化、「テレとも」の名称で提供を開始した。

「テレとも」は、特にデジタル機器に慣れていない高齢者などを考慮して開発されたシステムで、遠隔医療相談や地域限定VOD(ビデオオンデマンド)サービスなどが簡単に実現可能だという。

家庭のテレビに接続する専用端末(「テレとも端末」)と自治体やCATV事業者内に設置するWebサーバおよびVODサーバなどから構成され、テレビ電話・Web閲覧・VODの3つの基本サービスを提供する。

自治体やCATV事業者は、これらの基本サービスを活用して、巡回医療地区の高齢者宅や公民館などでテレビ電話サービスを提供したり、運動会や夏祭りなどの地元イベント・個人活動のVOD配信サービスを行ったり、テレビで地元流通関連企業のWeb情報を提供したりといったことが可能となる見込みだ。

どの家庭にもあるテレビを通して、地域に根ざしたさまざまなサービスを提供することにより、住民はもちろんのこと、域内経済の活性化を支援するのが狙いとのこと。

NECは、今後3年間で本システムを1万台以上販売する計画だ。提供価格は、7万円(税抜き、設置工事、保守費別途)からを予定している。

なお、「テレとも」は12月2日にNEC本社で開催される「NECケーブルネット・フォーラム」で紹介される予定。

治療歴有する膠芽細胞腫への「アバスチン」承認申請が欧州で却下

エフ・ホフマン・ラ・ロシュ(F. Hoffmann-La Roche、スイスのバーゼルに本拠を置く製薬会社)は20日、抗血管内皮成長因子抗体製剤「アバスチン」(ベバシズマブ)を単剤、またはイリノテカンと併用で、再発性または進行性の膠芽細胞腫患者に適用することを目指した承認申請に対し、欧州医薬品審査庁(EMEA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)は否定的な見解を示したと発表した。

膠芽細胞腫は、原発性の悪性脳腫瘍の中では最も悪性度が高いものの一つ。米国では2009年5月に同様の申請が認められ、治療歴のある膠芽細胞腫患者の治療にベバシズマブを用いることが可能になっている。

この申請の中心になったのは欧米ともに、フェーズ2試験であるBRAIN試験(AVF3708g)の結果だ。

欧州医薬品評価委員会は、承認を支持しなかった主な理由として、フェーズ2試験にベバシズマブ非投与の対照群が設けられなかったことを挙げた。

また、欧州医薬品評価委員会は通常、フェーズ3試験の結果のみを分析して承認を推薦するかどうかを決定するが、ロシュ社はBRAIN試験の結果はベバシズマブの利益を明瞭に示していると確信し、ほかの複数の国と同様に欧州でも、BRAIN試験の結果に基づいて承認申請を行っていた。

なお、BRAIN試験の結果はJournal of Clinical Oncology誌2009年10月号に報告されている。

この試験は、オープンラベルの多施設無作為化試験で、第一選択治療または第二選択治療(全員がテモゾロミド投与と放射線治療を経験済み)の後で再発した167人の患者を登録。ベバシズマブを単剤で投与する群(85人)とイリノテカンと併用する群(82人)に割り付け、最高104週間継続した。評価項目は6カ月時点の無増悪生存率と客観的奏効率などとしていた。

ロシュ社は現在、膠芽細胞腫と新しく診断された患者を対象とした大規模なフェーズ3試験であるAVAGLIOを実施中だ。

この二重盲検無作為化試験は、ベバシズマブを標準治療(テモゾロミド+放射線治療)と併用した場合の有効性と安全性の評価を目的とし、900人を超える患者を登録する予定だ。主要エンドポイントは無増悪生存率、全生存率に設定している。

欧州においては、AVAGLIO試験の結果を待って、膠芽細胞腫を対象とするベバシズマブの承認を目指すという。