PACSニュース

フィルムレスPACSの運用からDICOM医用画像の解析まで。

バーチュア・ヘルスのIT化プロジェクト

ニュージャージー州マールトンの病院グループ「バーチュア・ヘルス」は、長年GEヘルスケアやシーメンスなどの医療用ソフトウェアを使ってきた。

だが、同病院グループCEOのリチャード・ミラー氏は、病院内のプロセスで最初から最後まで電子処理されているものが1つもないという事態にいらだちを募らせていた。

例えば、看護師が新しい患者の電子医療記録を作っても、医師は治療の指示を相変わらず手書きで渡していたのだ。

「システムの機能のうち、20%しか利用していないと聞くのはもううんざりだった」とミラー氏はこぼす。

バーチュア・ヘルスのCOO、ニンファ・サンダース氏の話では、問題は主に旧態依然とした仕事の進め方と、変化に対する頑固なまでの抵抗感にあったという。

ミラー氏とサンダース氏をはじめとする役員らは、バーチュア・ヘルスを女性特有の病気や心臓血管の疾病など、それぞれの分野で世界最高レベルの医療機関に生まれ変わらせたいと考えた。「もう、ありきたりの病院ではいたくないと思った」とミラー氏は当時の心境を明かす。

バーチュア・ヘルスは2006年に電子医療記録システムを立ち上げ、GEヘルスケアの「Centricity PACS」、マイクロソフトのデータベース「Amalga」と統合ツールキット、およびシーメンス・ヘルスケアの「Soarian」を導入し、それらの機能を極力活用することにした。

そして昨年には、コンサルティング会社デロイト・コンサルティングのアル・カンパネラ氏をCIOに迎え入れたのである。

ミラー氏は、「プロジェクトの総額は、1億2,500万ドルに及ぶ」と語る。

ミラー氏によれば、すでに2011年までの具体的な計画が出来ており、2011年には“ほぼ”ペーパーレス・フィルムレスな病院が開院する予定だ。

これに向けて、バーチュア・ヘルスの経営陣は、ソフトウェアを購入する前に「まずどこから手を付けるか」、「作業の優先順位をどう決めるか」、「組織面/技術面で必要なスキルは何か」を明らかにするため、シックス・シグマとリーン・マネジメント手法を使っているという。

それと並行して、シニア・エグゼクティブは他のITスタッフや医療スタッフと共同で、日常的に行うすべてのプロジェクトの主要プロセスとマイナー・プロセスをマップ化した。

マップは、複数の楕円形や長方形、正方形によって表され、さらにそれぞれの形状が色付きの矢印で結ばれており、外部の人間には判読できない。

バーチュア・ヘルスのスタッフは、このマップから、さまざまな事柄を突き止めた。例えば、「臨床プロセスに1,000種類以上の用紙が使われている」といったことだ。この件に関しては、ワークフローを変更/IT化することで、用紙を200種類に削減し、さらに新たな臨床情報システムではそれらもすべて電子化される予定となった。

ミラー氏は「断片的なプロセスをIT化しても何も解決しない。IT導入の基礎となるフロー・チャートを作ることが重要なのだ」と自信をのぞかせる。

こうしたことから、バーチュア・ヘルスでは、ベンダーとの契約書に「ベンダーは新しいソフトウェアを導入する前に、プロセスのマッピングを支援すること」という条文を盛り込んでいるという。

Cクラスの役員とITプロジェクト・マネジャーの連携に加え、臨床医も参加させることで、優れたシステムを開発できる。そのため、ミラー氏、サンダース氏、カンパネラ氏の3氏は、毎月行われるシックス・シグマのアップデート・ミーティングへの出席を欠かさない。

「欠席は許されない。このミーティングには代理を立てることはできず、必ず本人が出席することになっている」とミラー氏は語る。

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