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桃太郎源、「REIC遺伝子医薬」の臨床研究を来年スタート、前立腺癌や中皮腫が標的

岡山大学発のベンチャー企業「桃太郎源」は来年、日本・中国・米国で癌抑制遺伝子「REIC」をアデノウイルスベクターに組み込んだ遺伝子治療製剤の臨床試験に着手すると発表した。

桃太郎源取締役で岡山大学教授の公文裕巳氏は都内で記者会見を行い、「難治固形癌治療だけでなく、手術や放射線治療後の癌再発予防についても、開発を進めていきたい」と意欲を示した。

REICは、不死化細胞の研究から、岡山大学で独自に単離・同定された遺伝子で、癌抑制遺伝子の1種。正常細胞では高発現しているが、前立腺癌をはじめ各種の癌細胞では高頻度で発現が抑制されていることが分かっている。

REICを導入したアデノウイルスベクターを癌局所に注入した実験では、小胞体で折り畳まれていない異常なREIC蛋白質が産生され、その蓄積によって「小胞体ストレス」が生じ、アポトーシスが起こることや、細胞傷害性T細胞の誘導とNK細胞の活性化が認められている。

既に、REIC遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクター製剤「Ad‐REIC」も製造されており、動物を使った安全性試験も終えている。そのため、日本・米国・中国で本格的に臨床試験を進めることにした。

国内では、岡山大学が来年から、「内分泌療法抵抗性の進行性前立腺癌」「ハイリスク限局性前立腺癌の再発予防」を適応に、「Ad‐REIC」の医師主導臨床研究をスタートさせる。

厚生労働省への研究計画書の提出も済ませており、癌遺伝子治療臨床研究作業委員会で審査中の状況にある。

公文氏は、「遺伝子治療に対する薬事行政の方針が不確定のため、国内での実用化には時間がかかる」とした上で、「当局の方針が確定するまでは、治験を実施せず、臨床研究として進める」方針を示した。

米国では、桃太郎源が来年3月から「ハイリスク限局性前立腺癌の再発予防」を適応に、第I相試験を実施する計画を立てている。第I相試験は2010年度後半には終了させる予定だ。

一方、中国では、CRO大手の「イーピーエス」が桃太郎源から「Ad‐REIC」の独占的開発・販売権を取得し、悪性中皮腫を適応に「Ad‐REIC」の開発を進める。来年、中国国内での試験薬製造や前臨床試験を開始し、11年には中国国家食品医薬品監督管理局(SFDA)に治験開始申請を行う計画だ。

アスベストの使用に関する規制がない中国では悪性中皮腫患者の急激な増加が予想されており、公文氏は「アスベストを原因とする悪性中皮腫は、日本がリードしていかなければならない治療分野」と強調。イーピーエスに導出することで、世界で唯一、遺伝子治療を認可している中国で、「Ad‐REIC」の早期実用化を図る。

さらに、桃太郎源は、提携先の日東電工が開発したポリマーを利用し、「REIC」のDDS製剤開発を行う方針だ。公文氏は、「将来的には、前立腺癌や悪性中皮腫だけでなく、幅広い癌で適応取得を目指したい」との考えを示した。

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