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「風のかたち~小児がんと仲間たちの10年」、文化庁映画賞文化記録映画優秀賞に、聖路加国際病院の取り組みを映画化

小児がんと闘う子供たちを10年間にわたり撮り続けたドキュメンタリー映画「風のかたち~小児がんと仲間たちの10年」が、今年度の文化庁映画賞文化記録映画優秀賞を受賞した。

制作したのは映画監督の伊勢真一さん(東京都町田市小川)。文化庁映画賞文化記録映画優秀賞は大賞に次ぐもので、伊勢さんは「自主上映を応援してくれた仲間に感謝したい。しかし本当の受賞者は映画に登場した子供たち」と控えめに喜びを語る。

伊勢さんは世田谷区生まれ。立教大学を卒業後、父親が記録映画の編集者だった縁もあり、ドキュメンタリー映画の世界に進み、障害を持つ姪を記録した「奈緒ちゃん」など10本の映画を制作している。

「風のかたち~小児がんと仲間たちの10年」は、聖路加国際病院(東京都中央区明石町9番1号)の細谷亮太・副院長(小児科)が映画「奈緒ちゃん」を見て感激し、伊勢さんに「我々が取り組んでいるサマーキャンプの記録を撮ってもらえないか」と頼んだことがきっかけ。

1998年から細谷亮太副院長が取り組んでいるサマーキャンプは、病室で小児がんと闘う子供たちが自然と触れ合ったり、小児がんを克服した元患者と交流したりする目的で開かれている。

伊勢さんは翌年の1999年からサマーキャンプに合流し、子供たちの姿を中心に記録しはじめ、ちょうど10年の節目を迎えたことから今春に映画化をおこなった。

小児がんの患者は全国に約2万5000人いるが、治療法が目覚ましい発展を遂げ、患者10人の内8人は治っているという。伊勢さんは「小児がん患者を、悲劇の主人公としてでなく、再生のシンボルとして描き、命の尊さ、生きる意味を問いかけようと思った」と、制作の動機を語る。

映画では、サマーキャンプで希望や夢を語る子供たちや、完治した後「社会に恩返ししたい」と看護師になった女性、「子供がほしい」と熱望していた女性が放射線治療で癌を克服、無事母親になる姿などを紹介している。

映画のタイトルとなっている「風のかたち~小児がんと仲間たちの10年」は、細谷亮太副院長がキャンプで詠んだ俳句「ヨット、ヨット、風のかたちは帆のかたち」からとった。「目に見えない風が、帆をふくらませることで存在がわかるように、映像を通じ、目に見えない大切なものがあることを伝えたいという思いを込めた」と伊勢さん。

作品は11月28日から12月11日まで、川崎市アートセンター(小田急線新百合ヶ丘駅北口)で上映される。上映時間は1時間45分。ナレーションも伊勢さんが担当している。料金は一般1200円、大学生1000円、高校生以下700円。問い合わせは「いせフィルム」へ。

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