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フィルムレスPACSの運用からDICOM医用画像の解析まで。

米国での過激な医療情報IT推進、成否を決めるのはマネジメント力

米国における医療情報のIT化の奨励金を獲得するための具体的な最終条件は、今年末まではっきりしない。

だが、オバマ大統領が提示した期日に間に合わせるために、CIOは電子医療記録システム(EHR:Electronic Healt Record)などの導入を推し進める必要がある。

調査会社のコンピュータ・エコノミクスがITエグゼクティブ200名を対象に実施した調査によると、多くの業界ではIT運用予算が横ばい状態にあるのとは対照的に、医療業界における今年のIT運営予算は2008年比で4.7%増加しているという。

また、医療業界では雇用も急増している。IT部門全体では今年になって46%が人員を削減しているのに対し、医療業界のIT部門では27%がIT職を増やしているのだ。

電子医療の分野における今日のIT製品は、1990年代初頭に登場したERP(Enterprise Resource Planning)を彷彿とさせる。

当時は、システムベンダーのうたい文句に乗せられて、多くの企業が莫大な予算を投下したものだ。

当時のERPに相当するのが、患者の医療記録を電子化するEHRシステムである。

早い段階から新しいものを取り入れることが必ずしも得策だとは限らないが、病院がオバマ大統領のビジョンを実現するには、オンラインでの処方箋追跡から、医師の指示の電子化、ラボでの調査結果と画像のデジタル化/保存/検索に至るまで、膨大な要素を統合しなければならないことに変わりはない。

うまくいけば、医療機関はほぼ完全なペーパーレス化・フィルムレス化を実現し、患者の全情報に即アクセスできるようになる。

また、過去の治療結果に関する包括的なデータを詳しく解析したうえで、最善の治療計画を練るといったことも可能になるだろう。

つまり、患者の治療の質を高められるのである。カイザー・パーマネンテのCIO、フィル・ファサノ氏の言葉を借りれば、「医療機関の目的が“病気を治す”ことから、“健康を広める”ことに変わっていく」かもしれない。ヘルスケアの根本的な戦略転換となるわけだ。

ハワイのヒロ・メディカルセンターでCIO兼CFOを務めるモネイ・アトワル氏は、「多くの人たちは、こうした“未来予想図”を達成しようと、あまりにも早い段階から手を広げすぎて失敗するだろう」と予想する。

その根拠として、「ERPのときも、ITリーダーはCクラスの役員から全面的な支持を取り付けないまま、何の実績もない巨大なERPシステムをわれ先にと導入したものだ」と述懐する。

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