PACSニュース

フィルムレスPACSの運用からDICOM医用画像の解析まで。

出生21分後の新生児に心臓手術、生後8カ月を迎え無事退院、長野県立こども病院

長野県立こども病院(宮坂勝之院長)は1日、心疾患のある出生21分後の新生児に心臓手術などを段階的に施し、治療に成功したと発表した。

胎児期に3つの重い心疾患が見つかり、一時は「生存困難」と診断されたが、生後8カ月を迎えた同日、無事退院。2~3歳をめどに再手術に成功すれば、普通に日常生活を送れるようになるという。

手術を受けたのは同県上田市の市川寛さん(38)、裕子さん(30)夫妻の次男洋(よう)ちゃん。

病院によると、妊娠7カ月だった1月、洋ちゃんの心臓に循環不全などを起こす

  • 大動脈弁欠損
  • 僧帽弁閉鎖不全
  • 心房間交通閉鎖
の3疾患が合併して見つかった。

大動脈弁欠損がある子供は約15万人に1人で、さらに合併する状態は極めて稀という。

長野県立こども病院は3月、帝王切開で生まれた洋ちゃんを手術室に移し、人工心肺をつけて手術。生後21日、77日、121日にも手術した。

日本光電や日立メディコ、医療機器の中国需要を開拓

医療機器メーカーの中国進出が拡大している。

日立メディコは中国市場向けの、低価格の画像診断装置の生産を中国現地で始めた。

同じく計測機器大手の日本光電も、来年にも中国現地で生産する予定。

中国では農村部を中心とした医療体制が整備される見通しで、成長が期待される中国需要を取り込むとともに、新興国への輸出もにらんで生産体制を整える計画。

日立メディコは生産子会社の日立医療系統(蘇州)に2億円を投じて製造設備を増設し、磁気共鳴画像装置(MRI、MR)や超音波診断装置(US)、X線撮影装置(XP、CR)など標準的な機能を備えた汎用品の生産を順次始める。

東芝メディカル、CTなど医用画像装置のモーダルシフトを加速

東芝メディカルシステムズ(栃木県大田原市、小松研一社長)は、2010年度に医用画像装置のモーダルシフトを加速し、陸上貨物輸送(トラックと鉄道)の鉄道利用率を現在の約2倍の約30%に高めると発表した。

関西、北海道、九州に加え、新たに中部地域を切り替える。さらに大井埠頭(東京都品川区)への輸出貨物輸送も転換する。これにより、二酸化炭素(CO2)排出削減量を倍増し、環境対策を推進させる考え。

東芝メディカルシステムズは、世界で最初のコンピューター断層撮影装置(CT)メーカーであり、現在でもCTの第一人者であり、トップブランドとして定着しているため、その出荷量も非常に多い。診断用X線装置やCTなど、1日当たり約68トンを国内向けに、鉄道やトラックで出荷している。

トラックから鉄道貨物への転換を進め、すでに宇都宮貨物ターミナル駅(栃木県上三川町)から20フィートのコンテナ2基で北海道・九州へ、31フィート2基で関西・九州へ輸送している。

これに名古屋市を中心とする中部地域を加え、2010年4月をめどに31フィートを中部地域用に1基増やす計画。

また、輸出貨物も大井埠頭までのトラック輸送を鉄道で代替することにめどをつけており、2010年1月にも実施する予定。

東芝メディカルシステムズは「環境ボランタリープラン」を策定し、2002年からモーダルシフトに着手。物流コストやリードタイムでトラック輸送と同等の地域を基準に切り替えている。

東芝メディカルシステムズは「今後は貨物輸送を徐々に増やしコスト削減にもつなげたい」と話している。

名古屋市「陽子線がん治療施設」先送り、患者数試算にズレ

愛知県名古屋市の河村たかし市長は30日、凍結していた「陽子線がん治療施設」を建設するかどうかの判断を先送りした。

同日を期限に設定していたが、患者数の試算が当初と違ってきたため検討し直す必要が生じたという。

しかし、凍結発表から既に2カ月が経過しており、結論先送りで工事のために確保した人件費などを業者から請求される可能性がある。

名古屋市は陽子線がん治療施設を、放射線治療医13人、医学物理士5人、診療放射線技師16人で運営し、年間800人の患者を受け入れる計画を策定している。

しかし河村市長が11月25日に、「静岡がんセンター」を視察したところ、年間200~250人の患者しか受け入れる能力がなく、名古屋市の計画規模に当てはめると、受け入れ可能な患者数は400人となることが分かったという。

この場合、20年間の赤字が134億円(年6.7億円)に達し、想定していた18億円を大きく上回るとしている。

河村市長は30日、記者団に「前提が違ってきたので新しいデータを示し議論する必要がある。市民の税金を守るのは私の責務だ」と述べた。

ただ、陽子線がん治療施設は11月着工予定であり、事業凍結を継続したうえに建設中止の結論を出せば、契約業者から投資済みの約42億円に加え、人件費や資材維持費など多額を請求される可能性が強い。

名古屋市幹部は「先送りが長引くほど市に与える損害は大きくなる」と話しており、30日の市議会一般質問でも市長の結論先送りへの批判が出た。

河村市長は、名古屋市天白区の里山の買い取りをめぐっても、業者と約束した判断期日を先送りし、その後買い取り額を提示したものの業者による訴訟の可能性が生じている。

乳がん最前線3

マンモグラフィー(マンモ)は、「石灰化」を小さなものでも捉えることができ、ごく早期の乳癌発見にも有効なのが特長。

だが、若い人は乳腺の密度が大きく、マンモではこの部分が白く見えてしまうため、同様に白く見える石灰化や腫瘤を見つけるのは難しい場合がある。一般的に年齢とともに乳腺は脂肪に変わり、黒く見えるようになり、白く見える石灰化との区別が容易になることで、診断しやすくなる。

一方、石灰化の検出能力は劣るが、年齢に関係なく一様の画像が得られるのが超音波診断だ。

超音波診断について、中島康雄(聖マリアンナ医大教授、放射線医学)は「脂肪は白く、腫瘤は黒く写るので、若い人でも見つけるのは比較的簡単。マンモでは診断できないガンが一目瞭然の場合もある」と話す。

また、超音波診断には、放射線被曝の問題や、マンモ検査時のように乳房が圧迫されることによる痛みもない。

しかし、超音波診断は検査者が探触子(プローブ)という検査器具を乳房に当て、リアルタイムで生成される超音波画像を見ながらリアルタイムで検査を行う必要があるため、結果は検査者の経験や技量に左右されるという問題点があった。

DICOM画像データ等として残す場合も、超音波検査全体ではなく、検査者が必要と判断した部分的な情報だけを保存する。

この点について中島教授は「検査者が必要と判断した情報だけを保存し、あとは破棄してしまうため、再現性にも乏しい」と話す。

そこで開発されたのが「自動ボリュームスキャナー」である。

長さ約15センチのプローブがセットされた箱状の器具を、あおむけに寝た人の乳房の上にセットすると、プローブが自動的に約17センチ平行移動し、深さ約6センチまでのデータを取得し、すべてを保存する。

検査時間も従来の1/3から1/3と短時間で済む。

また、通常の超音波で見られる断面以外に、乳房を正面からとらえた「冠状断面」も表示できるため、ガンが周囲の組織に広がる浸潤の診断にも役立つとされる。

中島教授は「規格化した画像を保存でき、後から何度でも評価できる。今後はX線CTなどと同様、保存された画像からがんを見つけ、治療の必要性などを判断する『読影』が重要になる」と指摘、読影医の集中化や2次読影、3次読影の広まり、コンピューターによる診断支援が進めば精度が向上していくと予想する。

聖マリアンナ医大は世界の7施設による国際共同研究に参加し、この新超音波診断装置の有効性を評価していくという。

乳がん最前線2

日本の乳癌での死亡者は年間1万人を超え、特に30~64歳の女性では死因のトップとなっている。

予防法はないが「2センチ以下の大きさで、リンパ節転移のないI期なら90%は治る」と、ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック(東京)の対馬ルリ子院長は早期発見の意義を強調する。

だが、乳癌検診の受診率は1割余りにとどまっている

乳癌検診は通常、問診と視触診による「しこり」のチェックのほか、マンモや超音波による画像診断が行われるが、対馬さんは年代や乳腺の状態、家族に乳癌になった人がいるかなどで最適な方法は変わると指摘する。

同クリニックでは20~30代前半には超音波が主体で、必要に応じてマンモを併用。30代後半以降では二つを併用する。家族歴がある場合は、家族の発病年齢の10歳手前から併用検査を勧めている。

乳がん最前線1

乳癌検診の画像診断で、マンモグラフィー(乳房X線撮影装置、通称マンモ、MG)とともに使われるのが超音波診断装置だ。

超音波診断は、マンモに比べ若い人のガンを見つけやすいなどの利点がある半面、結果が検査する人の経験や技量に左右され、検証も難しいといった限界も指摘されている。

今年発売された最新鋭の超音波診断装置は、従来は手動かつリアルタイムであった超音波検査を、CTやMRのごとく自動的にスキャンし、画像情報全体をPACSに保存、後からDICOMビューアなどを用いて別途読影できるようになった。

必要に応じマンモと併用すれば、乳癌検診の精度が飛躍的に向上すると専門家は期待している。