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名古屋市「陽子線がん治療施設」先送り、患者数試算にズレ

愛知県名古屋市の河村たかし市長は30日、凍結していた「陽子線がん治療施設」を建設するかどうかの判断を先送りした。

同日を期限に設定していたが、患者数の試算が当初と違ってきたため検討し直す必要が生じたという。

しかし、凍結発表から既に2カ月が経過しており、結論先送りで工事のために確保した人件費などを業者から請求される可能性がある。

名古屋市は陽子線がん治療施設を、放射線治療医13人、医学物理士5人、診療放射線技師16人で運営し、年間800人の患者を受け入れる計画を策定している。

しかし河村市長が11月25日に、「静岡がんセンター」を視察したところ、年間200~250人の患者しか受け入れる能力がなく、名古屋市の計画規模に当てはめると、受け入れ可能な患者数は400人となることが分かったという。

この場合、20年間の赤字が134億円(年6.7億円)に達し、想定していた18億円を大きく上回るとしている。

河村市長は30日、記者団に「前提が違ってきたので新しいデータを示し議論する必要がある。市民の税金を守るのは私の責務だ」と述べた。

ただ、陽子線がん治療施設は11月着工予定であり、事業凍結を継続したうえに建設中止の結論を出せば、契約業者から投資済みの約42億円に加え、人件費や資材維持費など多額を請求される可能性が強い。

名古屋市幹部は「先送りが長引くほど市に与える損害は大きくなる」と話しており、30日の市議会一般質問でも市長の結論先送りへの批判が出た。

河村市長は、名古屋市天白区の里山の買い取りをめぐっても、業者と約束した判断期日を先送りし、その後買い取り額を提示したものの業者による訴訟の可能性が生じている。

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