チーム医療、診療報酬が論点に
11月13日、中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬基本問題小委員会(委員長:遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は、入院医療におけるチーム医療への評価について議論した。
厚生労働省側は、多職種が連携して患者の栄養管理を行う「栄養サポートチーム(NST)」などへの診療報酬上の評価を論点に挙げた。チーム医療の重要性では委員の認識が一致したものの、定義の明確化や内容の検証を求める意見もあった。
現行の診療報酬では、チーム医療について、緩和ケア診療に関する「緩和ケア診療加算」(1日につき300点)のほか、栄養管理やリハビリテーションなどについて共同で策定した計画に基づく医学管理を評価する「栄養管理実施加算」(1日につき12点)や、「リハビリテーション総合計画評価料」(月1回300点)などで加算している。
この日の基本小委で厚労省側は、「他職種がかかわるチームによるカンファレンスや回診を行い、患者の治療・療養に対応することについて、診療報酬上の評価をどのように考えるか」を論点に提示。チーム医療の具体例として、高知の近森病院のNSTのほか、東京の聖路加国際病院の「呼吸ケアチーム(多職種で人工呼吸器を管理)」を挙げた。
意見交換で嘉山孝正委員(山形大医学部長)は、医療現場でのNSTの重要性を指摘した一方で、呼吸ケアチームについては「本来の医療なので、これを特別に(診療報酬上で)認める必要はないと思う」と述べた。また、「ただチームと名前を付けるだけで診療報酬を付けることには賛成できない」とも述べ、多職種による連携の中身を吟味する必要があるとの考えを強調した。
一方、白川修二委員(健康保険組合連合会常務理事)はチーム医療の重要性に理解を示しながらも、「何をもって『チーム』と言うのか。何をもって『カンファレンス』と言うのか。それをある程度明確にしないと、外来管理加算の5分要件と同じになってしまう」と苦言を呈した。
これに対して西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は、「病院、特に急性期病院はいろんな患者をトータルで診ている。あまり指摘されると、かえって質が悪くなることも頭に入れていただきたい」と反論。その上で、「すべての入院医療でチーム医療をやっていることをご理解いただき、やはり入院基本料の底上げで評価を考えてほしい」と求めた。
また、北村善明専門委員(日本放射線技師会長)は、「脳卒中ケアユニット入院医療管理料」などを例示し、モチベーション向上を目的に施設基準などにコメディカルの名前を入れるよう要望。
坂本すが専門委員(日本看護協会副会長)は、チーム医療における専門・認定看護師の役割を説明し、それに対する診療報酬上の評価の必要性を強調した。
チーム医療への診療報酬上の評価について、佐藤敏信医療課長は「現行でチーム医療への評価と考えられるのは『緩和ケア診療加算』。この中でも留意事項や施設基準などが決まっているので、一般論で言うとこれに準ずる形になる」と発言。次回以降の基本小委で議論を深めるとした上で、「例えば、近森病院も参考にして組み込んでいくだろう」と述べ、NSTへの評価も今後の検討課題に含める意向を示した。
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