広汎性発達障害診断治療が事業仕分けで廃止に、石川県知事が継続を求める声明を発表
20日、谷本石川県知事は他の6道府県の知事と連名で、政府の行政刷新会議の「事業仕分け」で廃止となった「地域科学技術振興・産学官連携事業」の継続を求める緊急共同声明を発表した。
産業や農業、医療など様々な分野で行っている産学官連携の事業で、廃止には研究現場から困惑の声が上がっている。
声明では「科学技術立国こそ、日本の進むべき道。日本のあしたのために不可欠な同事業の予算確保を強く求める」としている。
石川県が関連する同事業は、健康関連産業の創出を目指す「知的クラスター創成事業」(2008~2012年、年間約7億5000万円)と、伝統発酵食品の技術を活用した高機能食品の開発に取り組む「都市エリア産学官連携促進事業」(2009~2011年、年間1億円)の2件。
これらの事業の財源は、ほぼ国庫のみで行われており、石川県産業政策課では「試作品が出来上がるなど成果が出始めたところ。石川県の次世代産業の要で、はしごを外され困惑している」と話す。
現場からも事業の存続を求める声が上がっている。金沢大学医学類の三邉義雄教授のグループは、「知的クラスター創成事業」の一環で、子どもの広汎性発達障害の診断治療システムの開発を、民間企業2社などと共同で研究している。年間約1億円の研究費で約25人がかかわっており、このうち約10人は、この研究のために雇用されたという。
脳の医用画像や血流などで診断をおこなう機器はすでに開発済みで、数十人の子どもの協力を得て、症例実験を始めたところだった。今後は結果をまとめて診断方法を確立する計画だったという。
三邉義雄教授は「広汎性発達障害の治療には、子どもの時の早期発見が重要で、患者の家族からも期待されている重要な研究。国の財政が厳しいのはわかるが、突然やめてくれというのはダメージが大きすぎる」と話し、今回の共同声明の行方に注目している。
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