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フィルムレスPACSの運用からDICOM医用画像の解析まで。

HIS/RIS業界支援、バブル状態も不明瞭な点が混乱を招く

米国連邦議会が先ごろ「医療情報技術(HIT:Healthcare Information Technology)に340億ドルを投資する」と公約したのを受け、電子医療記録システム(EHR:Electronic Health Record)を中心としたHIT市場が急成長の兆しを見せている。

クリニックと病院のシステム購入費に対する補助金制度は、ARRA法の下、2011年から施行される予定であり、シェアード・ヘルス、ライフイメージ、メドコモンズが提供するシステムはその対象になる可能性が極めて高い。

ただし、各社は今のところ最終結論を待つほかない。

HITに政府の予算が付くことは決まっているし、クリニックや病院のHIT投資がメディケアを通して還付されることもはっきりしたが、どの投資が還付金の対象になるのかがまだ決定されていないのだ。

ARRA法では、還付金の受給資格を有する投資の条件を「有意義な使用」としている。つまり、その製品やサービスが「資格を満たしたEHR」を「有意義に」使うことを実証できなければならない。しかし、製品とサービスが定義に従っているかどうかを判断するための認定プロセスなどはまだ完成していない。

ベター・ヘルス・テクノロジーズ社長のヴィンス・クラティス氏は、「EHRシステムがどれだけ革新的なものになれるかは、『有意義な使用』をどう定義するかで決まる」と語る。「定義の幅が狭すぎると、補助金の対象となるEHRシステムが高度な相互運用性に欠け、EHRデータを変換して利用するプラットフォームとしてはお粗末な代物になりかねない」と言うのだ。

最近では、多目的にEHRを活用しようとする人が増えているが、クラティス氏もその1人である。そうすることにより、患者自身がEHRを支持するようになり、医師の側でも患者の健康状態を改善しやすくなるからだ。さらに、EHRの情報を匿名化したうえで他の情報とともに分析することで、ヘルスケアへの投資効率を改善したり、疫学上の判断をより的確に下したりできるようになる。彼らは、EHRプラットフォームの斬新な使い方を提案できる若くて革新的な“Hearth 2.0企業”にこそ、多額の補助金を振り分けたいと望んでいるのだ。

個々の患者により適した医療情報を提供しているソーシャル・ネットワーク・サービス「MyHealthExperience」でチーフ・エバンジェリストを務めるユージーン・ボルコビッチ氏も、相互運用性の重要さを熱心に説く。

「相互運用性が実現されれば、患者は医療のクラウド・ソーシングなど、新たな方法で診療を受けられるようになる。また、医師の側もEHRの情報に基づいた先進の意思決定支援ツールを使うことで、より的確な判断を下せるようになるはずだ」(ボルコビッチ氏)。

ヘルスケア業界の慣習を過小評価するのは禁物だが、政府は大手ITベンダーや小売業者らが直面する経済危機を打開するのに十分な資金の投入を決めた。各社は、思いのほか早い景気回復に安堵している場合ではない。将来の収益目標を達成するためにも、EHRシステムの契約を勝ち取る必要がある。

Health 2.0にかかわる多くの人々は、EHRプラットフォーム上に新たな技術革新の波が生まれることで、ヘルスケアに対して今まで以上に体系的なアプローチで臨めるようになり、結果的に患者の利便性を高めたり、新たな治療法を見つけたり、管理を改善できたりするのではないかという期待を寄せている。ヘルスケアへの新たなアプローチを提言したり、オープン性/相互運用性の実現に向けて重要な役割を果たしたりするのがHealth 2.0の提唱者らだとすれば、起業家らは、提唱者のビジョンを具現化した製品やサービスを提供するというかたちで、大きな役割を果たしていくことになるだろう。

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