HIS/RIS業界、GoogleやMicrosoftなど大手IT企業の新規参入相次ぐ
米国連邦議会が先ごろ「医療情報技術(HIT:Healthcare Information Technology)に340億ドルを投資する」と公約したのを受け、電子医療記録システム(EHR:Electronic Health Record)を中心としたHIT市場が急成長の兆しを見せている。
米国マサチューセッツ州ボストンで「Health 2.0」という医療情報技術カンファレンスが開催された。「Health 2.0」とは、「Web 2.0」を模した造語が由来だという。会場はさながら、連邦議会の公約をうけたベンダー各社によるお祭り会場となっていた。まさにゴールドラッシュである。
そのEHRシステムに関するベンダー各社の取り組みを見てみよう。まず、グーグル(Google)とマイクロソフト(Microsoft)は、2年ほど前にそれぞれ「Google Health」、「Microsoft HealthVault」というEHRシステムの無償提供を開始した。また最近では、ウォルマートもクリニック向けにEHRシステムを販売すると発表している。
さらに今年6月下旬には、オールスクリプツ、シスコ(Cisco)、シトリックス、デル(Dell)、インテル(Intel)、インテュイット、マイクロソフト(Microsoft)、ニュアンス・コミュニケーションズらが、医師に対するEHRシステム教育を目的とした「EHRヘルス・アライアンス」を立ち上げた。各社は近日中に、自社ブランドとヘルスケアを結び付けるキャンペーンを始めるはずだ。なお、同アライアンスでは、個々のEHRシステムを単一のセキュアなEHRシステムにリンクさせるには、さらなる技術革新が必要だとしている。
マサチューセッツ州にあるライフイメージやメドコモンズが提供するのは、より専門的な分野に特化したEHRシステムである。ライフイメージの場合、クリニックや病院に、他の医療機関で撮影された患者の放射線画像にセキュアにアクセスできるサービスを提供することにより、何度も放射線試験を行う無駄を省いている。一方、メドコモンズは、患者の承認を得たうえで、その患者のかかりつけの医師や紹介先の医療機関に、診断書とカルテをセキュアに送信する機能を提供している。両社のサービスの特徴は、患者のEHRを相互運用可能にすることで、患者とヘルスケア・プロバイダーの双方の利便性を図っている点にある。
さらに、臨床医療にEHRを使う相互連携システムは、より効率的なヘルスケアの実現に向けて、退役軍人省やカイザー・パーマネンテ、パートナーズ・ヘルスケアなど、垂直統合型の大手ヘルスケア・プロバイダーで標準システムとして採用されている。テネシー州のシェアード・ヘルスも、同様の相互連携ソリューションを提供しているが、個々のヘルスケア・プロバイダーとクリニックをリンクし、それぞれがEHRデータをセキュアにやり取りできるようにしている点が異なる。
シェアード・ヘルスは、ARRA法が可決されるはるか以前から、臨床/事務/請求関連のデータを互いに交換できるようにすれば、医療の質を高め、さらにコストを削減できると考えていたわけだ。ヘルスケア・プロバイダーを相互接続するネットワークを通じて、すでに300万人近くにサービスを提供しているという実績からは、EHRシステムが患者の治療においていかに大きな効果があり、なおかつコスト効率の向上に貢献するものであるかがうかがい知れる。
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